2018/01/03 11:14


わたしたちカカオ工房エルモリーノの一番の特徴は、カカオ豆からチョコレートを作っていることです。一般的な洋菓子店やチョコレート専門店でも、国内外の専用メーカーが作った既製の製菓用チョコレートを使っていて、カカオ豆からチョコをつくることはほとんどしていません。

わたしたちのように豆からチョコレートをつくる小規模な事業を英語でBean To Bar と言い、ここ数年前から日本でも開業する方が増えてきています。

Bean To Barの良いところは、チョコをイチから作るので、カカオ豆の選定から焙煎やその後の工程まで、配合とレシピを自由に組むことができて、今までのチョコレートとは違った新しい風味を作り出せるようになります。特に原料(カカオの原産地や品種)、焙煎、配合(カカオの%)を変化させることで、新しいチョコレートの楽しみ方をご提案できると私たちは考えています。


では、早速エルモリーノのチョコレートの工房をご案内します。

兵庫県三田市にある私たちのチョコレート工房です。築ウン十年の空き家を借りて内装をきれいにしました。2階の窓からみえる田園風景がいい感じです。(写真はまたいつかUPします)

工房の中は、こんな感じです。一工程ずつ、違う機械を使います。チョコレートは溶けやすく、固まりやすい食材で、溶けたままする工程で温度が下がると機械が壊れてしまったりします(泣)。温度管理は特に気を使います。


①カカオ豆のハンドピック

これがチョコレートの大元、カカオ豆です。詳しくはまた別の記事に書きますが、カカオの実というフルーツの中に含まれている種を発酵・乾燥させたものです。発酵によって酢酸を含んでいるので独特の酸っぱい匂いがします。

現在、エルモリーノで使っているカカオ豆は中米コスタリカ産。香味に優れた在来のトリニタリオ品種です。麻袋とグレインプロ(コーヒー豆や穀物の品質劣化を防ぐ袋)に詰められたカカオ豆は重さ50キロ。

中にはカカオの実の芯やゴミも少量混じっているので、最初に目視でゴミや小粒の豆などを取り除きます。


②カカオ豆の焙煎

ハンドピックを終えたカカオ豆を焙煎していきます。エルモリーノの焙煎機は中古のイタリアSTA社のコーヒー焙煎機。格安で譲ってもらったものですが、30分かけて500グラムしか焙煎できないのがなかなか大変です。でも、回転しながら加熱していくので、オーブンよりムラなく焙煎できます。

コーヒーでも、浅煎り、深煎りで味が変わるように、チョコレートも浅煎り、深煎りで味が変わります。


③荒割り

はるばるコスタリカからやってきたカカオ豆は最初、殻に包まれています。殻は最終的にはチョコレートには必要ないので、大きな工場では焙煎の前に殻を割ってしまいますが(その方が効率が良いので)、私たちは殻付きのまま焙煎しています。そうすることで、焙煎中にカカオの香りが飛ばす、また殻に包まれているニブ(中身)への熱もゆっくり伝わるので、コゲ味が少なくて香りが強いチョコレートになるのです。

さて、殻を割る、外すというのは単純なことですが、とても手間のかかることなのです…。

私たちのやり方は、まず焙煎したカカオ豆を荒割機という機械で割ります。殻だけ割れたら苦労はないのですが、中身のニブ(チョコレートの原料になる部分)はもろく、一緒に割れてしまいます。出てきたのは、こなごなになった殻とニブが混じったもの…。

続きは次の記事にて。

(下の写真の右側の大きなマシンが、粗割り機(通称マルロクミル)です。)