2018/01/27 06:14

エルモリーノは、兵庫県三田市にある工房で、カカオ豆からチョコレートを作っています。
前回の記事「こうしてチョコレートを作っています(1)」では、焙煎したカカオ豆を粗割りするところまで、ご紹介しました。
今回は、カカオからチョコレートを作っていく工程です。


④ウィノーイング

粗割りしたカカオ豆をチョコレートに使う中身(カカオニブ)と殻(シェル)を分ける工程。話は単純ですが、これがほんとに手間と時間のかかる仕事です。。


エルモリーノの工房では、専用のウィノワーという機械に通して、風の力を利用して殻とニブを選り分けていきます。殻は比較的比重が軽く、また平べったく、風で飛びやすいという違いを利用してニブと殻を分けていきます。丁度、江戸時代に唐箕でお米ともみ殻を分けたように…というのは、理論上の話で、実はニブと殻の比重はそれほど変わらず、機械に何回も通しても、どうしても殻は混じってしまいます。最後は人の目で、ピンセットを使いながら、取り除いていかないといけません。。


地道にこの工程が一番キツイです。


⑥微細化とコンチング

カカオニブを今度はコーヒーのミルで挽きます。コーヒー豆の場合は粉になって出てきますが、カカオニブには多くの油脂成分(ココアバター)が含まれているのでドロドロの液体になって出てきます。

まさにこれが冷えて固まったらチョコレート(カカオ100%)なのですが、そのままでは油脂以外の成分が粗く、食べてもザラザラなものになってしまいます。またかなり酸味が強く、甘みはなく、香りはチョコレートの香りがありますが、味は苦くて酸っぱいです。

そこで登場するのが、メランジャーという電動の石臼です。花崗岩でできた石の車輪が回り、底面も花崗岩でできている石臼で、石と石で押しつぶすことでカカオニブの粒や砂糖の粒をどんどん細かくしていき、最終的には、舌でざらつきを感じないほどにまですることができます。

この工程ではざらつかなくすると同時に、チョコレートを撹拌して、酸味を飛ばし(蒸発させ)、香りを整えます。最長で72時間ほどかかるこの工程の間に、砂糖やココアバター、全脂粉乳などの副原料を入れて配合を完成させます。


⑦テンパリング

⑥の工程で基本的にはチョコレートは完成なのですが、最後に「テンパリング」という工程があります。これをすることで、チョコレートの表面につやが出て、パリッと割れ、また口どけが良いチョコレートになります。テンパリングをしなくても風味に大きな違いはないのですが、一番やっかいなのは、ファットブルームといってチョコレートの表面が白いまだら模様が浮き出てしまうこと。誤って一度溶けたチョコレートがもう一度固まった時に、表面の一部が白くなるのと同じ現象です。

テンパリングは、一度溶かして40度以上にしたチョコレートを冷やしていき、25-28℃まで下げたのち、今度は逆に30-32度まで温度を上げます。(温度はチョコレートの配合によって変わります)これでテンパリングが完成。そのチョコレートを型に流し込み、冷やして固めると、表面につやのあるきれいな板チョコレートが出来上がります。

しかし、この工程もまた、言うのは簡単ですが、実際やってみると、微妙な温度のずれでブルームが発生してしまったり、ドロドロ・ネバネバのチョコレートを手早く、きれいに型に流すのがうまくいかず、微妙な温度が影響してか、1日頑張ってもきれいな板チョコが数枚しか作れないこともあります。


上記のような工程を経てエルモリーノのチョコレートは作られております。
カカオニブと殻の選り分けでは目を凝らしながらの作業、メランジャーは数日という時間がかかり、テンパリングでは職人技が必要(素人なのに)、時間も労力もかけてようやく出来上がったチョコレート。救いなのは、美味しいものができあがってるということです。

こういう事情でなかなか量を作ることができず、ネットショップも在庫が不足しがちでご迷惑をおかけしますが、長い目で見守っていただけたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。